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ライセンスが変化するということの意味は、周知の事実なのか
[- 神か悪魔か - GNU の見えざる手 : 目次]
この記事は、「神か悪魔か - GNU の見えざる手」の一部です。他のエントリとあわせてお読みください。


 GNU は、GPL ソフトウェアのライセンス条件に、

This program is free software; you can redistribute it and/or modify it under the terms of the GNU General Public License as published by the Free Software Foundation; either version 2 of the License, or (at your option) any later version.

このプログラムはフリーソフトウェアです。あなたはこれを、フリーソフトウェア財団によって発行された GNU 一般公衆利用許諾契約書(バージョン2か、希望によってはそれ以降のバージョンのうちどれか)の定める条件の下で再頒布または改変することができます。
(日本語訳: opensource.jp のライセンスの翻訳より概要部分引用)
と記すよう促している。(http://www.gnu.org/licenses/gpl-howto.html)

 ライセンス条件中の、「バージョン2か、希望によってはそれ以降のバージョンのうちどれか」という文言は、開発者が FSF に対し「権利行使方法をFSFに供託する注1」ことを意味している。FSF が、より使用条件の緩和されたバージョン3をリリースすれば、著作権者の意思に関係なく、その著作物を新たな使用条件の下で使用できるようになる。あるいは、より使用条件の厳格化されたバージョン3がリリースされた場合、著作権者以外の第三者が、新たなより厳しい条件の下で著作物を再頒布(かつ/または)改変できるようになる。

 この「権利行使方法をFSFに供託する」という特徴は、GPL ソフトウェアのライセンス契約について考える際、欠くことのできないものである。しかし、その意味が正しく理解され、広く知られているとは、とても言えないのではないか?

 GPL について説明したウェブサイトを挙げてみる。

http://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.ja.html
http://www.atmarkit.co.jp/aig/03linux/gpl.html
http://e-words.jp/w/GPL.html
http://pcweb.mycom.co.jp/special/2004/gnu/
http://ja.wikipedia.org/wiki/GPL
http://home.catv.ne.jp/pp/ginoue/memo/gpl.html
(2005/1/29 15時にGoogle で「GPL」を検索 (日本語のみ)した結果トップ10から、ライセンスの翻訳を除いたもの)
 これらのうち、 FSF の FAQ 以外で、GPL のバージョンアップについて触れているものはない。また、 FSF の FAQ にしても、問題を的確に説明できているとは言えない (「GPL FAQ の説明は的確なのか」) 。
 さらに、 FSF の How to (http://www.gnu.org/licenses/gpl-howto.html) を見ても、冒頭に書いたのと同様、「バージョン2以降」と書くことを薦める一方で、 FAQ は「more detailed information (より詳細な情報)」だとしている。この点から分かるのは、開発者が GPL ライセンスの下にソフトウェアを公開する際、「バージョン2以降」と書くことの意味を理解していることを、 FSF が必須条件とはしていない、ということである。

 また、GPL ライセンスの採用を他人に薦めている、日本のオープンソース開発者の中で有名なまつもと氏のような方ですらライセンス条件について間違った解釈をしてしまうのである。であるから、ライセンスが変化するということの意味のみが正しく周知されている、とは、到底考えられない。
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by kazuhooku | 2005-01-31 12:04 | GNU
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