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GPL FAQ の説明は的確なのか
[- 神か悪魔か - GNU の見えざる手 : 目次]
この記事は、「神か悪魔か - GNU の見えざる手」の一部です。他のエントリとあわせてお読みください。


 GPL の FAQ 内の項目『「プログラムで「GPLのバージョン2かそれ以降のバージョン」というような指定をするのはなぜですか?』が周知されていない点については、「ライセンスが変化するということの意味は、周知の事実なのか」で指摘した。
 しかし、問題は周知されていないという点だけに留まらない。この FAQ の説明自体にも問題がある。

 GNU FAQ は、「developers」という、一般的には個々の開発者をイメージするような単語を使って、

However, developers are not obligated to do this; developers can continue allowing use of the previous version of the GPL, if that is their preference.
(http://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.html#VersionTwoOrLater)
と、あたかも個々の権利が保証されているかのように振舞っている。

 しかし、ここでは「developers」は、「個々の開発者」という意味ではない。「開発プロジェクト」という意味なのである。

 多くの場合、フリーソフトウェアの開発は、複数の個人 (としての開発者) が共同で行っている。複雑で広く使われているソフトウェアの場合であれば、なおさらだ。そういったケースにおいて、「GPL バージョン 3 以降」へ移行するかどうかは、プロジェクト全体として決定される事項だ。ひとりひとりの開発者が、「オレは v3 以降にする~」「オレはどうしよっかなぁ」「オレはやめとく~」と、別個に決定する類の話ではない。したがって、「developers」が「開発プロジェクト」を指していることは明らかである。

 この点に気づくことは難しい。実際、日本語訳を見ても「developers」の訳語として「開発者」をあててしまっている箇所がある。これは訳者が、「developers」が開発プロジェクトではなく、開発者個人を指していると素直に読んでしまったことを示しているのではないか。

 権利の保証といった重要な問題の説明において、このような曖昧な語の使い方は、不適切である。しかも、結局、開発者個人の権利がどう守られるのかについては一切記載されていないのである。

 続きは、「GPL バージョン変化の隠された意味」をご覧いただきたい。

注: 訳者が「開発プロジェクト」の意であると認識していたとしたら、別の訳語を使ったか、あるいは「開発者たち」で統一されていたのではないか。
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by kazuhooku | 2005-01-31 12:06 | GNU
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