kazuho.exblog.jp - 奥 一穂の飲んでから書くブログ。なにもかもアルコールのせいです
Web 2.0 (相互運用性) の抵抗勢力
 ブログの成功は、相互運用性注1によるところが大きい。トラックバックや RSS と言った技術は総体としての価値を向上させ、Rauru さんが指摘しているように、いまやその上に Technorati のような知性的なサービスまで出現している。

 しかし、同様のことが、他の分野でも成り立つとは限らない。

 コンテンツ分野においては、相互運用性を確保するにより総体としての価値を向上し、各プレイヤーの利得となるという正のフィードバックが存在する注2

 一方、実体物の商取引はゼロサムゲームである。そして、言うまでもないことかもしれないが、eコマース分野における相互運用性は、今日のプレイヤー多数の犠牲なくしては成立し得ないのではないか。

 Amazon の特許に示されているようなモデルの下では、ゲームはごく少数のマーケットプレイスと、多くの従属的なサプライヤーによって構成される。このような環境下では、利益はマーケットプレイスに集中する。独創的な商品を提供できるごく少数のサプライヤーを除けば、後は価格で勝負するしかない。また、流通業者は軒並み退場となる。マーケットプレイスも、世界で2~3社程度のグローバルプレイヤーに絞られるだろう。

 そのような生態系に実現可能性があるだろうか。Amazon、そして DELL のようなサプライヤーは、実現に向けて動くだろう (現に Amazon は動いている)。しかし、たとえ最終的にはeコマースの主流になるとしても、いろいろな抵抗があると、私は予測する。

 結論。XML API の公開があっさりと分野横断的なマジョリティにはなることはないのではないか。

 このような理由で私は、eコマース界の抵抗勢力たちと Yahoo! Widgets という (API をオープンにしなくてもよい) クライアント技術は相性がよいのではないか、などと考えるているわけである注3
もちろん、相互運用性を持つものは全てダメという話ではなくて、 RSS でキャンペーンの案内を流すといった使い方は大いにアリだと思う。しかし、商用サイトの更新情報をいくら分析したところで、eコマースのハブにはなれない。


注1: 「相互運用性」とはあいまいな表現だが、ここでは共通化かれた XML API による機械可読な情報交換、という意味で使っている
注2: この正のフィードバックが、成長市場という特性によるものか、著作物の特質なのかは気になるところ
注3: このような理由から、私は Yahoo! Widgets (のようなクローズドな XML API の可能性を持つ技術) と RSS (に代表される Web 2.0 の技術) を比較することが、「空虚なメタ理論」ではないと考えます

[PR]
by kazuhooku | 2005-08-10 18:34 | RSS & お気に入りナビ
<< 「イノベーションのジレンマ」と... Web フィード ≠ RSS ... >>