kazuho.exblog.jp - 奥 一穂の飲んでから書くブログ。なにもかもアルコールのせいです
複製技術時代の著作権
あきれた。

asahi.com:ダウンロード、海賊版は禁止 政府、著作権法改正を検討?-?社会

 政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍首相)は、音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をインターネット上からダウンロードすることを全面的に禁止する著作権法改正に着手する。27日に開く知財本部コンテンツ専門調査会に事務局案を提案。罰則も設け、08年通常国会に提出をめざしている改正案に盛り込む。海外でも人気が高い日本のマンガやアニメなどの権利保護を強め、コンテンツ産業の育成を促す狙いがある。

ここまでアホだと、πの値を3と法律で定めたどこかの政府を笑えない。

なぜなら、デジタル情報においては、閲覧することはコピーそのものだからだ。「閲覧」しているというのは実は我々の感覚に過ぎず、実際はオリジナルと全く同じ情報がメモリー上にコピーされ、それがディスプレイやスピーカーに「投影」されているに過ぎない。今あなたがお読みになっている本文も、あなたが見ているのは「オリジナル」ではなくあなたの電脳に複製されたコピーである。

デジタル情報に、正規版と海賊版の違いは存在しない。

(404 Blog Not Found:「ダウンロード、海賊版は禁止」は実施可能か?)

 とりあえずツッコんでおくと、デジタルか否か、という問題ではない。アナログの VHS ビデオだってダビングで複製できるわけだし、写真の焼き増し、本や絵の印刷にしたって同じこと。結局は、「複製」と「芸術」の関係という、戦前から知られていたフレームに帰着する問題だと思う。

 というか、むしろ「複製」行為からどのように利益配分をするか、というのが、その誕生から一貫して「著作権」の存在意義なんじゃないのかな。出版以前の演劇や絵画では、木戸銭がとれるから「著作権」なんて概念は不要だったわけです。というか、むしろ今の著作権法は、コピーを前提とした権利体系として整備済だと捉えるべきなんじゃないんかな。

 例としてカラオケやレンタルCDを考えてみても、「複製」を前提に利益配分をする枠組が存在するのは明らか。デジタルか否かが分水嶺なのであれば、レンタルCDの時点でこのような法改正が議論になっていただろう。

 変わったのは複製可能性ではなく、インターネットによって流通コストが下がった (ほぼゼロになった) という点。大規模な権利侵害がとても容易になったという現実に直面して、責任の所在を切り替えるべきか、あるいは知財権全般の体系を見直すのか。そういう話だと思う。


23:26 追記: 著作権と「複製」は表裏一体だよねということで修正。ああ酔っ払い。
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by kazuhooku | 2006-11-24 23:12 | 雑想
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