kazuho.exblog.jp - 奥 一穂の飲んでから書くブログ。なにもかもアルコールのせいです
カテゴリ:雑想( 93 )
iPod の成功と NTT ドコモの未来 (その 2)
 前回のエントリ「iPod の成功と NTT ドコモの未来」にトラックバックがついていた。

 まずは、「mgkillerの目が光る。 : 汎用性にはリスクが伴う」について。ドコモが汎用 OS を搭載したスマートフォンを投入しない理由は、サポートコストの問題ではない。サポートコストが気になるのであれば、販売チャンネルを限定したり、サードパーティを限定したり、やり方はいくらでもある。
 ドコモがスマートフォンを投入しない理由は、iアプリが自社の寡占状態を強化するための道具だからだ。シェア 1 位のキャリアとしての地位をベースに iアプリという独自規格を構築し、サードパーティが豊富にアプリケーションを提供する。顧客は、そのアプリを使う以上、ドコモの携帯電話を持たざるを得ない、というビジネスモデルである。汎用 OS を搭載したスマートフォンは、このビジネスモデルと競合する以上、そのデバイスがより一般向けのものであればあるほど、販売しづらくなる。だからこそ、新規参入企業にはスマートフォンを差別化の道具として使うチャンスがあるわけである。

 「R30::マーケティング社会時評: 企業はスマートフォンを欲するか?」では、そんなこと百も承知の NTT ドコモに、それでもスマートフォンが勝つのだろうか、という点を指摘された。これは分からないとしか言いようがない。NTT ドコモのビジネスモデルと相容れないようなキラーアプリケーションが出てくるのか、それは何なのか、は分からない。(分かっていても教えないですけど)
 ただ、かつてはシェア拡大の武器であった i アプリは、いつのまにかジレンマに陥っている。
  • iアプリの仕様が拡大すればするほど、市場の狭さが問題になる
  • 携帯電話のコモディティ化を防ぐために、仕様追加 (新サービスの投入) は不可欠
  • 通信料の収益構造に悪影響を与える仕様追加はできない
 これらの問題を抱えながら、 NTT ドコモは AU とのコスト競争にも勝利しなければならない。Qualcomm が提供する CDMA1x + brew の方が FOMA + DoJa よりも安価なのは明らかだ。独自路線を維持するのは大変だろうなあ、と思うわけである。
[PR]
by kazuhooku | 2004-12-06 12:22 | 雑想
iPod の成功と NTT ドコモの未来
 多くの日本人は、携帯電話で一番進んでいるのは日本だと思っている。現状の理解として、これは正しい。しかし、5年後もそうなのだろうか。
 今夏、アメリカで開催された携帯電話関連のカンファレンスに参加した。その場で感じたのはスマートフォンの勢いだった。さまざまなメーカーが Windows Mobile を搭載した電話を展示していたし、マイクロソフト以外にも Palm や Symbian, Blackberry といった OS ベンダがソフト開発を呼びかけていた。
 これら汎用 OS を搭載したスマートフォンには、日本の携帯電話にない良さがある。それは、ソフトウェアで可能なことの範囲がはるかに広いという点だ。たとえば IM を常駐させてメッセージをポップアップさせたり、標準の電話帳を置き換えたり。携帯電話間の P2P だって実現可能なのである。新しい可能性を追求する環境という点では、日本は後塵を拝しているのだ。

 NTT ドコモ (および AU) は、携帯電話アプリの API を自ら企画決定し、対応ケータイの普及とアプリの増加を両輪で廻す、というビジネスモデルで成功してきた。しかし、既存の収益モデルを維持しながらの作業である以上、アプリでできることは、どうしても制限される傾向にある。また、ユーセージモデルを設定してから設計するため、最大公約数的な API にならざるを得ない。
 ここで思い出されるのは、シリコンオーディオプレーヤー (HDD オーディオプレーヤー) 市場でのソニーの失敗だ。グループの CD 販売とのバランスを取ろうとした結果、最良の商品を提供できなかったソニーは、市場を Apple や iRiver といった新規参入組に奪われてしまった。
 これと同様のことが、携帯電話市場でも発生するの可能性がある。

 と、ここまでが理論的な話。机上の空論に見えるかもしれない。しかし、ソフトバンクやイーアクセスといった、これから携帯電話事業に参入する企業は、この点を突いてくるだろうと、私は考えている。
 たとえば、企業向け市場について。NTT ドコモの DoJa で実現不可能なこととして、携帯電話へのグループウェア統合がある。携帯電話の電話帳ボタンを押すとサイボウズのアドレス帳が出たり、ノーツのメッセージが携帯電話に着信したり。Windows Mobile や Palm OS なら、こういった機能は簡単に実現できる。
 ソフトバンクが、グループウェアに統合可能なスマートフォンを武器に企業向け市場に切り込んできた時、既存キャリアに対抗するすべはあるのだろうか。
[PR]
by kazuhooku | 2004-12-01 20:49 | 雑想
日本のソフトウェアが輸出されない理由
CNET Japan の記事等で報じられているように、日本のソフトウェアの輸出入の比率は、輸出 1 vs. 輸入100 だそうである。その原因は何か。よく挙げられる候補は、これら3つだろう。

  • 独創性の問題
  • 開発技術の問題
  • 言語障壁の問題
しかし、いずれも当を得ていないように思われる。
独創性については、ソフトウェア技術のうち特許で保護される部分はごく一部であるし、たいていの機能は競合製品と切磋琢磨していく中で実装されていくものであるから、該当しない。
開発技術についても問題ではないと思う。そもそも、開発技術とソフトウェアの売り上げに相関関係などないのではないか。開発技術については外部から見えない点も多いが、売り上げと品質に関係がないのは明らかだ。たとえば Netscape の実装 (オープンソース化された当初のもの) は、おそろしく低レベルなものだった。
言語障壁は、言い訳にすぎない。たとえば、他の東アジア諸国 (中韓台) のソフトウェアは、日本よりも輸出されている (と思う) 。

私には、問題点はただひたすら、外国の市場を考えない日本のソフトウェア業界の体質にあると思われる。
過去、一緒に仕事をした中韓台のソフトウェアハウスは、いずれも輸出を前提にソフトウェアを開発していた。彼らの目は世界を向いていたのである。
逆に、日本のほぼすべてのデベロッパーは、国内の市場が十分に大きいこともあり、国内市場向けに計画を立て、日本語版を最初に開発している。彼らの考えは、国内で成功すれば輸出してみようか、というものだ。

これではダメだ。

ソフトウェア業界は日進月歩である。新機能なんて、数ヶ月もたてば他のソフトウェアにも実装され、標準的なものになってしまう。たとえ開発に着手した時点で日本のデベロッパーが先行していたとしても、海外進出を果たす頃には同等以上の製品が既に開発されてしまっている。
しかも、相手は数倍の市場を持つ英語版。開発に投資できる金額が違う以上、太刀打ちできない (*1)。追いつき追い越され、やがて国内の市場も持っていかれるだけである。

対策はひとつしかない。日本語版と同時に英語版を作成することだ。
[PR]
by kazuhooku | 2004-11-16 02:09 | 雑想