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オープンソースの支配者 (ライセンスに潜む危険)
[- 神か悪魔か - GNU の見えざる手 : 目次]
この記事は、「神か悪魔か - GNU の見えざる手」の一部です。他のエントリとあわせてお読みください。


 前々回のエントリ前回のエントリにおいて、次版の GPL (GNU General Public License) に導入されるかもしれない Bruce Perens の対特許条項について論じてきた。 (2005/1/6 追記: FSF は、あとになってこそこそするな - Linus Torvalds に続く)
 僕は、GPL に彼の対特許条項を導入することに反対だ。対特許条項は、ライセンス収入だけを目的とする「特許ゴロ」には何の対策にもならない一方、まじめにソフトウェアを開発しながら特許を使用しようとする ISV にダメージを与える。

 しかし、本質的な問題は別のところにある。

 以下、ソフトウェア開発者 (あなた) にむけて書く。

 GPL の問題は、 GNU がライセンスの改変権を保持していて、かつ、あなたのソースコードが、改変されたライセンスの下に配布される可能性があることだ。
 将来の GPL で、あなたが望まない改変が行われないとは限らない。その改変を多数派が支持した場合、あなたが望まない条件の下で、あなたのコードが配布/使用されることになる。GPL の目的は GPL ソフトウェアを増殖させることにある。あなたのコードが、あなたの望まない世界を強化するために利用されるわけだ。

 BSD ライセンスApache ライセンス には、この問題は存在しない。これらのライセンスは、あなたのソフトウェアを他人に使用してもらうこと以外に目的を持たない (使用形態を制限しない) からだ。BSD ライセンスで配布されたソースコードを GPL で配布することさえ可能なくらい。
 ならば、 BSD ライセンスよりも、現時点であなたの考えと一致している GPL のほうがマシなのだろうか。
 僕はそう思わない。
 それは、理念を主張しないことと、自らの意に反して自分のソースコードが利用されてしまうこととは別問題だからである。

 ちなみに、 Common Public License (CPL) や Mozilla Public License (MPL) にも同様の問題がある。CPL は、 IBM が改変の全権を握っている。MPL にいたっては "Netscape Communications Corporation" だ。

 あなたは IBM を信じられますか?
 Netscape って、まだあるの?
 GPL にしたところで、同じ話。むしろ、ライセンスの目的があなたのソフトウェアの公開に留まらない分、たちが悪いかもしれない。

 不幸中の幸い、 GPL には、この問題に対処する方法がある。GPL では、バージョンを指定してソフトウェアを公開することが可能になっている (CPL や MPL では不可能) 。具体的には、こうすればよい。
This program is free software; you can redistribute it and/or modify it under the terms of the GNU General Public License as published by the Free Software Foundation; either version 2 of the License, or (at your option) any later version.
僕なりの結論:

 ソフトウェアを公開する際に、 CPL や MPL を使用してはならない。
 GPL を使用する場合は、バージョン指定すべきだ。

感想:

 ライセンスに、前文のような不変条項を設けることはできないんでしょうか。憲法の前文が改正改変可能かという議論があったと思うのですが、それと同じように...

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by kazuhooku | 2005-01-05 01:35 | GNU
GPL は独禁法違反となるのか
[- 神か悪魔か - GNU の見えざる手 : 目次]
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 先のエントリ - GPL v3 (対特許ウィルス) に、 yukoba さんよりコメントをいただいた。
MicrosoftのWindowsに「購入者はいかなる特許裁判をマイクロソフトに対して行ってはいけない」という条項が入っていたらもっとびっくりですね。
 マイクロソフトは購入者ではなく OEM に対して特許の無償ライセンスを要求していて、それに対して公取から排除勧告を受けている。 (ソース)

 僕が気になるのは、 GPL に特許の無償相互ライセンスを要求する条項が盛り込まれた場合、それがカルテルと見なされるかどうかである。

 GPL v2 以前でも、改変の公開を強要する文言はあった。しかし、公開対象となるのはソフトそのものに対する改変であって、ソフトの生成物 (コンパイルされたオブジェクトコード等) については GPL の適用範囲外である。
 対特許条項は、改変の共有とは本質的に異なる性質を持つ。ソフトウェアの改変権ではなく使用権を制限するものだからだ。

16:20 追記:
 GNU General Public License (GPL; リンク) は、多くのオープンソースソフトウェアで採用されている使用許諾契約です。
 GPL に基づいて配布されている代表的なソフトウェアとしては、 Linux や GCC (コンパイラ=人間が書いたプログラムを実行可能な形式に変換するソフト) が挙げられます。特に GCC は、しばしば non-PC 機器用のコンパイラとしてカスタマイズされて使用されています。また、一からコンパイラを開発するのは大変なので、多くの non-PC プラットフォームにおいて GCC が唯一のコンパイラとなっています。換言すると、多くの non-PC プラットフォームにおいては、(必須ソフトウェアである) GCC の代替手段は存在しません。
 したがって、GPL v3 に先のエントリで書いたような対特許条項が盛り込まれ、 GCC が GPL v3 に基づいて配布されるようになった場合、non-PC むけにソフトウェアの部品を販売している企業は (特許を用いて自社技術を保護できなくなるため) 壊滅的な影響を受ける可能性があります。

21:30 追記:
 例を挙げます。
 ACCESSMozilla を訴えたとたん GPL ソフトウェアの使用権を失うとします注1。ACCESS は Linux を搭載した携帯電話むけに NetFront をライセンスしているので、特許条項のもとに Linux がライセンスされるようになると注2 Mozilla を訴えることは不可能になります。

注1: 実際には Mozilla は GPL ソフトウェアではありません。
注2: GPL v3 は、まだ完成していませんし、完成したとして Linux が GPL v3 でリリースされるようになるかは別問題です。以下 2005/1/7 追記: Linux Kernel は GPL v2 (バージョンアップ条項なし) で配布されています。その理由については、Linus 自身の発言を翻訳しましたので、ご覧ください (リンク) 。ただ、 Linux Kernel が GPL v3 にならないからといって、周辺のライブラリのライセンスが GPL v3 にアップグレードしてしまえば、問題は変わらないでしょう。


2004/1/7 追記:
 法務だけど理系女子の綴るblog -mulog- 「GPLとか企業法務の意義とか」において、マイクロソフトの NAP 条項と同一の規制に抵触するであろうとの指摘がなされています。規制の条文も示されていてオススメです。
 (さらに追記) 規制の対象となる「拘束条件つき取引」に該当するかどうかついては、「個別の取引毎に判断される」という指摘をコメントでいただいています (ありがとうございます > t.ikawa さん)。 独禁法の問題にしぼって、さらに詳しく説明していただいていますので、あわせてご覧ください。
 また、僕 (当ブログの筆者) は、法律の専門知識を持ち合わせていません。この問題についてご懸念の方は、専門家に相談するようにしてください。

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by kazuhooku | 2005-01-04 16:13 | GNU
GPL v3 (対特許ウィルス)
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 Google 叩きのブログ: Weblog Without Honor or Humanity を読んで知ったのだが、GPL v3 で対ソフトウェア特許条項が導入されるらしい。 (元記事は CNET - リンク)

 Bruce Perens なんかは、
I would like to see the next issue of the GPL include a mutual-defense clause regarding patents, such that if you enforce a patent against any free software, your rights to use free software terminate...
私は GPL の次の版に特許に対する総合防衛条項が含まれることを望んでいる。それは、あるフリーソフトウェアに対して特許を行使した者は、(全ての) フリーソフトウェアの使用権を失うというものだ...
と言っているし、ソフトウェア特許も、まだまだ二転三転がありそう。

 IBM や SUN, アップルのライセンスにはもともと特許の防衛条項が入っていたけど、 GPL に入るとなると影響の桁が違いますね。

 中小企業はプロパテントに走るよりも、 GPL の庇護を期待すべきなんでしょうか...

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by kazuhooku | 2005-01-02 19:04 | GNU