kazuho.exblog.jp - 奥 一穂の飲んでから書くブログ。なにもかもアルコールのせいです
<   2006年 11月 ( 12 )   > この月の画像一覧
「Winny による被害額は約100億円」っておかしいんじゃないか
 少なくとも ACCS が算出した95億円分は、計算方法がめちゃくちゃなんじゃないの、という話。

 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は11月28日、ファイル交換ソフト「Winny」による被害相当額は、約100億円規模であると発表した。

 この被害相当額は、Winnyネットワーク上で権利者に無許諾で送信可能な状態に置かれ流通している音楽ファイル、コンピュータソフトウェア等についての実態調査を実施し、その金額を試算したもの。

 実態調査は、10月10日の18時から24時までの6時間について実施し、その結果、少なくとも21万ユーザーのコンピュータなどでファイル交換ソフトWinnyが利用されていることを確認した。

 調査によると、音楽ではWinny上で61万ファイルの流通を確認。1ファイル当たりのJASRAC管理楽曲を7曲と想定し、月額使用料換算で約4億4000万円相当の被害額となる。

 コンピュータソフトウェアなどについては、Winny上での流通タイトル数を平均価格で換算し、総額で約95億円の被害額となった。内訳では、ビジネスソフトウェア61万タイトルで約19億5000万円相当、ゲームソフトウェア約117万タイトルで約51億3000万円相当、アニメーション約18万タイトルで約17億2000万円相当、コミック約159万タイトルで約7億円相当となる。

Winnyによる被害額は約100億円--最も大きな被害はゲーム - CNET Japan

 JASRAC の算定方法は良くわからないので、ACCS が担当したそれ以外の部分 (約95億円) について。

 まず、タイトル数と被害額の関係だが、コミックのところを見ると、約7億円÷約159万タイトル=440円、ということで、単価×タイトル数=被害額として計算しているらしいことがわかる。

 次に「流通」という単語が何を意味しているのかについて。普通に考えれば「流通」=ダウンロードされたファイルの量ということになりそうだが、そうだとすると、Winny ユーザーは6時間の間に、平均ビジネスソフト3本、ゲームソフト6本、アニメ1タイトル、コミック8タイトルをダウンロードしていることになる。ありえねー (笑)

 また、「ダウンロード」を基準に算定しているのなら、調査期間の被害額から年間の被害額を算出するために、×365日×4 といったことをやりそうなものだが、上に書いたように、そのような計算をした痕跡はない。となると、むしろ、Winnybot を使用して「特定ノードが保有するファイルの一覧」から額を算定した可能性が高くなる。結局は、

公開されているファイル数 × 平均単価 × ユーザー数 = 被害額

という計算式を使ったんじゃないか。

 それってどうなのよ。Winny のユーザーが、公開されている全ファイルをダウンロードするわけじゃないだろうに。ACCS は、図書館の利用者は、図書館の本を全て読むものだとでも考えているのか。あまりに非現実的な算定方法に思えてならない。

 もっとマシな算定をしているというのであれば、上記は謝罪の上訂正します。ぜひ計算方法を公開してもらいたいものだ。

6:51 追記: そもそも、タイトル数が非現実的のような気もする。たとえばコミックについてだが、159万タイトルって、そんなに発売されてる? 過去30年間のマンガが全部 Winny 上に存在するとしても、毎月4,000冊以上の新刊が出ている計算になる。実際はその 1/10 以下だと思うから、重複の除去もしてないんじゃないかなぁ。なんというか、あまりに香ばしい感じ。


注: Winny上の著作権侵害ファイル、保有ノードのIPアドレスを特定可能に (INTERNET Watch) を参照のこと
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-29 06:12 | 雑想
社会貢献するスパマーたち
 slashdot.org 経由で英ガーディアン紙の話。いわく、

But he said that the one thing that did give him pause was the possibility that rival blog spammers might start paying people in developing countries to fill in captchas: they could always use a bit of western cash, would have the spare time and, increasingly, cheap internet connections to be able to do such tedious (but paid) work.

The price of humans who'll spam blogs is falling to zero | Technology | Guardian Unlimited Technology

 なるほど、発展途上国の人々にお金を払って Captcha を解いてもらおうという計画があるということですか。100ドルPCは、スパマーにとって福音だとかないとか。まあ、教育目的のみならず人々の経済的自立にも役に立つなら、ネグロポンテ氏も満足なんじゃないかと。

 スパマーがノーベル賞を受賞する日が来るかもですね。皆さんもこれからは、スパムを毛嫌いするのではなく、格差解消の希望の火を見るがごとく、暖かく受け止めてあげてはいかがでしょうか?


参考: モハマド・ユヌス氏及びグラミン銀行のノーベル平和賞受賞決定について
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-27 20:39 | ニュース
複製技術時代の著作権
あきれた。

asahi.com:ダウンロード、海賊版は禁止 政府、著作権法改正を検討?-?社会

 政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍首相)は、音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をインターネット上からダウンロードすることを全面的に禁止する著作権法改正に着手する。27日に開く知財本部コンテンツ専門調査会に事務局案を提案。罰則も設け、08年通常国会に提出をめざしている改正案に盛り込む。海外でも人気が高い日本のマンガやアニメなどの権利保護を強め、コンテンツ産業の育成を促す狙いがある。

ここまでアホだと、πの値を3と法律で定めたどこかの政府を笑えない。

なぜなら、デジタル情報においては、閲覧することはコピーそのものだからだ。「閲覧」しているというのは実は我々の感覚に過ぎず、実際はオリジナルと全く同じ情報がメモリー上にコピーされ、それがディスプレイやスピーカーに「投影」されているに過ぎない。今あなたがお読みになっている本文も、あなたが見ているのは「オリジナル」ではなくあなたの電脳に複製されたコピーである。

デジタル情報に、正規版と海賊版の違いは存在しない。

(404 Blog Not Found:「ダウンロード、海賊版は禁止」は実施可能か?)

 とりあえずツッコんでおくと、デジタルか否か、という問題ではない。アナログの VHS ビデオだってダビングで複製できるわけだし、写真の焼き増し、本や絵の印刷にしたって同じこと。結局は、「複製」と「芸術」の関係という、戦前から知られていたフレームに帰着する問題だと思う。

 というか、むしろ「複製」行為からどのように利益配分をするか、というのが、その誕生から一貫して「著作権」の存在意義なんじゃないのかな。出版以前の演劇や絵画では、木戸銭がとれるから「著作権」なんて概念は不要だったわけです。というか、むしろ今の著作権法は、コピーを前提とした権利体系として整備済だと捉えるべきなんじゃないんかな。

 例としてカラオケやレンタルCDを考えてみても、「複製」を前提に利益配分をする枠組が存在するのは明らか。デジタルか否かが分水嶺なのであれば、レンタルCDの時点でこのような法改正が議論になっていただろう。

 変わったのは複製可能性ではなく、インターネットによって流通コストが下がった (ほぼゼロになった) という点。大規模な権利侵害がとても容易になったという現実に直面して、責任の所在を切り替えるべきか、あるいは知財権全般の体系を見直すのか。そういう話だと思う。


23:26 追記: 著作権と「複製」は表裏一体だよねということで修正。ああ酔っ払い。
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-24 23:12 | 雑想
はてブ vs. スルー力
 はてブって、スルー力がない人にとっての楽園だよね。

 ロバ耳なのか議論の場なのかよくわからない、微妙な空間設計は見事。ブログにコメントをつけたりトラックバックしたりするほどのことではなくても、はてブになら、さっくり書くことができる。かといって、純粋なロバ耳なわけでもない。見る人もいるわけだし。digg クローンとか作ってる人は、そこんとこ考えたほうがいいんじゃないかと思った。

参考: 「ロバ耳」が生まれた経緯 - hyuki.com
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-24 21:52 | 雑想
The Program is the Message
 ITアーキテクト vol.8の、「トップ・アーキテクトの履歴書」という連載でとりあげていただきました。やっぱりインタビューを受けるのはいいですね。自分の志向を見つめなおすことができます。

 自分のような立場の技術者にとって、どのように新しいことに挑戦していくのか、またその「引き出し」として何をもっているのか、そういったことをうまく整理してまとめた記事を書いていただけたと感じています。ありがたいことです。

(Kazuho@Cybozu Labs: 「ITアーキテクト」誌のインタビュー)

 あんまり宣言しちゃうのも、自己認識が固定化されそうでなんなのですが、結局マクルーハニストなんだよね、って思う。The Program is the Message とでも言うべきか。
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-24 15:38 | 近況
Novell の弁明
 MSとNovellの提携について - mhatta のジャーナルにも触れられている GPL 違反の疑いについて Novell の見解が出たということで見てみた。

Q1. How is this agreement compatible with Novell's obligations under Section 7 of the GPL?

Our agreement with Microsoft is focused on our customers, and does not include a patent license or covenant not to sue from Microsoft to Novell (or, for that matter, from Novell to Microsoft). Novell's customers receive a covenant not to sue directly from Microsoft. We have not agreed with Microsoft to any condition that would contradict the conditions of the GPL and we are in full compliance.

Novell's end user customers receive a covenant not to sue directly from Microsoft for their use of Novell products and services, but these activities are outside the scope of the GPL.

(Novell and Microsoft Agreement - Frequently Asked Questions)

 つまり、GPL と矛盾するライセンスを受けるのはユーザーであって Novell ではないから、 Novell の再配布権は失われない、という主張なのか。

 それって三者間契約って言うんじゃないのかなぁ、よくわかんないけど。エグい感じ。

 今後の展開に期待ですね。
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-09 11:16 | GNU
20代男女、PC経由でのウェブ利用が実数で減少?
 「切込隊長BLOG(ブログ) - 20代男女、PC経由でのウェブ利用が構成比で半減」を読んで、実数が気になったのでググッて計算してみた。

 2001年7月 3,023万人×22.5%=681万人
 2005年4月 4,856万人×12.5%=607万人

参考: ascii24.com, NS総研

 問題の統計が、携帯電話のみからアクセスしているユーザーを含んでいないとするならば、実数でも20代男女のアクセスは減ってるんじゃないかな。少なくともネットレイティングス社の統計によれば。

 適当にグラフ読んだので、間違っていたら指摘してください。「20代のマジョリティに対してウェブサービスは熱中させられるサービスを提供し切れていない」という隊長の指摘は妥当なんじゃないかと思った。


注: レポートが「20 歳代の比率が減少しているのは、~携帯電話による利用増も要因と考えられます」って言ってるし、妥当な理解じゃないかと
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-08 21:16 | 雑想
ブラジルのインターネットが匿名禁止になるかもしれない件
 日本語のブログで触れてるのがないっぽいので、Slashdot | The End of Net Anonymity In Brazil を訳してみる

DieNadel 曰く、
「ブラジル議会は、身許を明らかにしないままチャットに参加したり、ブログを書いたり、インターネットからダウンロードしたりすることを犯罪とする法案を検討している。プライバシー団体やインターネットプロバイダは大変懸念し、法案に対するロビー活動を試みているが、成功の見込みは低い。」

記事より:
「可決されれば、ウイルスやトロイの木馬をばらまいたり、正当な権限を持たずにデータバンクやネットワークにアクセスしたり、あるいは、匿名のまま電子メールを送信、チャットに参加、ブログを執筆またはコンテンツをダウンロードすることは、最長4年間収監される刑に処すことのできる犯罪となる。」

(Slashdot | The End of Net Anonymity In Brazil)


 Google News で検索しても、そういう法案が検討されているのはほんとっぽい。「ブラジルのインターネットが総mixi化?」とか書こうかと思ったけど、おもしろくないのでやめた。

注: ポルトガル語のニュース→英語 slashdot →ちょー適当な日本語訳なので、よろしくです。ちなみに slashdot.org ネタが続いたのは、livedoor reader に slashdot の RSS を追加したからです (^^;
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-07 23:09 | 雑想
OpenSourcing Yourself
Slashdot.org のネタ。

Many people love and use open source software. Open source has made an impact in just about every place imaginable; education, hardware, coke, beer, cell phones, pharmaceuticals, search engines and encyclopedias. However, OpenHuman takes it one step further and invites you to open source yourself to experiment with the open human idea. This may sound crazy and rife with privacy concerns but as the author asks, do you still believe in Internet privacy in the age of blogs, MySpace, LinkedIn, Meetup, and Flickr?

(Slashdot | OpenSourcing Yourself, Are You Ready?)

 こういう問題提起は好き (というか、そのとおりだと思ってる) んだけど、ついてるコメントに笑った。いわく、

So is MS a privacy advocate and the open source movement a privacy opponent?

[PR]
by kazuhooku | 2006-11-07 11:11 | 雑想
JASRAC (´・ω・) カワイソス
 こんなエントリを書いていた自分が、まさか JASRAC に同情する日が来るとは。

 JASRAC が配布した YouTube への「共同アピール」に「映像の掲載を『掲載後の削除』から『事前審査』に変更」と書いてあった (ソース:NIKKEI NET) ことについて、以下のような批判があがっている。

プロバイダー責任制限法によれば、プロバイダーはアップロードされるコンテンツをすべてチェックする義務はなく、違法なコンテンツが存在することを知ったときに削除すればよいとされている。ちなみにプロバイダー責任制限法は、我々が考える「プロバイダー」だけではなく、サーバの管理者にも適用される。

要するに日本においてもアメリカにおいても通報を受けてから削除すれば良いのである。JASRACは自らの利権のためならば法の理念などどうでも良い、ということを吐露した。

なにより著作権違反の監視はJASRACの仕事ではないか。

Youtubeの監視に追われるのはわかるが、その解決策として法的な責任を持たないYoutubeに監視業務を押し付けるような要望をする。だから「著作権ヤクザ」と呼ばれるのである。

著作権を守るためだからといって、法の趣旨を捻じ曲げることを断じて許すべきではない。

(どう過ごすか、これからの10年。 - JASRACが「仕事しません」「法を無視します」)


 「JASRACは自らの利権のためならば法の理念などどうでも良い、ということを吐露した」、本当にそうなのか?

 プロバイダーは、「通報を受けてから削除」すれば責任を問われない、というのはそのとおり。でも、プロバイダー責任制限法に「通報を受けるまで削除してはならない」あるいは「著作権違反があきらかでない場合にはアップロードを受け付けなければならない」なんて規定あったっけ? そんなのはサービス事業者とユーザー間の契約の問題でしょ。

 つまり、「映像の掲載を『掲載後の削除』から『事前審査』に変更」という JASRAC の要求は、なんらプロバイダー責任制限法の理念に反しない。むしろ、 YouTube で著作権侵害が蔓延していることを考えると、著作権法に規定された権利を守らんとする遵法精神に満ち溢れた行為なのだ。

 それなのにそれなのに、「ヤクザ」と罵倒される JASRAC。かわいそすぎる。まあ普段の行動に問題があるんだろうけどさ。

 YouTube を守るためだからといって、法の趣旨を捻じ曲げることを断じて許すべきではない。

 そう思います。

PS. 「なにより著作権違反の監視はJASRACの仕事ではないか」... そうなんですか? 教えてください。
[PR]
by kazuhooku | 2006-11-02 21:13 | 雑想